読書録)2016年4月〜6月の読書録①
読んだ本
三行感想
- 一番のお気に入り。幼少時代を重ねながら読みました。子供の悩みは笑えますが、しかし、現在とまるで無関係とも思えません。
- 主婦の話。最近主婦や女性を主人公にした本が好きです。価値観を共有しない関係の中に救いを求める事ってありませんか。
- 観念的な寓話といった感じ。西洋人の作品ながら、その背景にあるのはキリスト教やら仏教やら、宗教的立場を超えたものでしょうか。いわば「殉教の精神」みたいな、より高尚な物に対する憧れや、その為に犠牲にする勇気、そんな気がしました。
- 少女期に誘拐された経験を持つ女性の精神を描いたもの。この作家さんの男性に対する目線が、刺激的で好きです。しかし本題は多分女性の怖さや強かさにこそあって、それが正直よく分からないんだけど、また読んでみたいと思うのです。
- 「人に愛される実感の無い男の話」で、誰かに特別に嫌われる事が無い代わりに、愛される事も出来ない、だから自信が無くて、他人を信じる事もできない。でも自分というのは、決して自分が思っているだけの自分じゃなく、他人はちゃんと自分の深層や、もしくは自分すら知り得ぬ部分を知ってたりする。人を好きになるって不思議で、人から見て自分がどう見えているのかってもっと不思議、そんな事を考えました。
お気に入り 円卓/西加奈子
2016年で一番感動したのがこの本。
子供の頃の、真剣な悩みや憤りが蘇ってくるのでした。
小学三年生の「平凡な」少女「こっこ」の日常を描いた作品。
満ちている「空気」
事件は起こりません、この本の中に描かれているのは「空気」です。
子供の頃に抱いていた、ある種の万能感や驕り、苛立ちに満ちていて、それが可笑しくもありまた懐かしい。
思春期を描いた作品は世に多いですが、この年代のイライラ感を描いた作品は新鮮でした。
大人になった今思うと、子供の頃は色々なことに悩んでいました。
僕の場合、例えば、死についてだとか。
悩みというより観念的な次元の問題が、ベッドの中でどういうわけか急に頭の中をよぎるのです。
大人の悩みと違って現実の生活を脅かす問題でないというだけで、悩みは悩みです。
そしてその怯えは大人より深刻です。
開き直れるほど悩み抜いた経験の無かったあの頃の僕ら、「脱力」の仕方を知りませんでしたから。
ドイツの児童文学家・ケストナーの「飛ぶ教室」の序文の一節を思い出しました。
確かこんな事を言っていた筈。
「子供の涙が大人の涙より小さいからと言って、子供の悩みが大人より小さいわけではない」。
鮮やかなキャラクター、軽妙な文体
中でも気に入ったのがその文体です。
いや、文体というより西加奈子という作家の「スタイル」かな?
キャラクタを、掘下げるというより、浮彫りにする、それも鮮やかに。
技法として、「キャラクタに、その人物を象徴するキーワードを与える」というもの。
たとえば劇中のキャラ、「ぽっさん」のキーワードは「流暢」。
彼は「吃り」の少年で、何か喋ると「れ、歴史は、く、繰り返すんや」てな具合。
ところが頭の中では「流暢」に言葉を操り、主人公こっこに聡明なアドバイスをくれる。
他にも主人公の家族の一人、祖父の石太は「明朝体」に例えられます。
能天気なこっこの家族の中、どこか異色の存在。
こっこに通じるある種の「意識の高さ」みたいなものの為に、やや孤立気味で、それがあの痩細って見ようによっては神経質な、しかし頑固で気高い明朝体というわけです。
LIVEで曲作り <ビートの研究>
Ableton Liveで曲を作ろうと模索中。
作りたいジャンルはエレクトロニカ。
ミニマルながらもメロディアスで展開性のあるもの。
bonoboとかが近いかなあ。
さてLive、買ったはいいがまだ一曲も完成していないありさま。
pushも触るのが楽しくてすごくいいんですが。
僕は飽きっぽいのです。
まあ、マイペースに進めていきます。
完成させない代わりに、ずっと作曲の勉強をしています。
今凝ってるのはビートの研究です。
Liveを立ち上げて、セッションビュー左端常駐のドラムパートばかりを、とにかくひたすら触っています(それをビートと呼ぶべきかはわかりませんが)。
アタックマガジンというオンラインのDTM講座みたいなサイトがあって、そこを見ながらやってます。
ちなみにたぶんアメリカのサイト。英語圏の人間はこういう最新の情報を扱えて本当うらやましい・・・(英語は日常英会話すらたどたどしいレベル)。
このアタックマガジンのビート・ディセクテッド(で合ってると思う。たぶん)という特集が本当に楽しく、ジャンルごとの基本のビートの組み方をレクチャーしてくれる。
しばらくはこの特集を真似しつつ、ビート作りの「考え方」を学んでいけたらいいなと思います。